~タイル外壁のメンテナンス方法~
よほど広範囲で深刻な劣化が起きていない限り、これらの補修は部分的にしか行われませんので、
外壁全体を塗り直す塗装リフォームよりメンテナンス費用や維持コストを抑えることができます。
ただし、劣化というものは放置するほど範囲が進行しますので、
定期的にメンテナンスが行われなかった外壁は、大規模な修繕工事が発生してしまう可能性があります。
タイルがモルタルから浮いている部分に、目地から細い穴を開けて樹脂などを詰め、
アンカーピンなどでしばらく固定し、浮きを解消するという施工内容になります。
穴を開ける位置を間違えたり、穴にごみなどの異物が入ってしまったりすると、
余計に浮きを拡げてしまいかねませんので、専門的な技術と経験が必要です。
そのため、タイル材自体の補修では、
基本的に剥がれ落ちて割れてしまった部分的なタイルを交換するのみに留まります。
ただし、交換するタイル材が見つからないときや、
既存タイルの色が施工時よりも色あせしてしまったときなどは、
貼り換えた箇所が目立たないように、新しいタイルをバーナーであぶって調整するなどの工程が発生します。
下地のモルタルさえしっかり施工されていれば、タイルはカンタンに剥がれるものではありません。
そのため、「タイル壁にリフォームしたのに、半年であちこちのタイルが浮いてきた」という時は、
施工不良を疑った方がいいかもしれません。
モルタルに不良が起きているときは、まず、それが広範囲で起きているか、
部分的な経年劣化かを見極め、症状に合わせた補修方法を調べることが大切です。
〇伸縮目地のコーキング補修
はじめに、伸縮目地に充填されている古いコーキングを、カッターなどを使って剥がし、内部を清掃して下地調整を行います。
次に、目地内部にプライマーなどの下地材を塗布して、新しいコーキング材が目地内部にしっかり密着するようにしておきます。
最後に、ガンを使ってシール材を充填し、仕上げに平らに処理して、コーキングの補修は完了です。
●クリヤー塗料を使った保護塗装
紫外線で劣化しないタイル材やレンガ材は、基本的に、塗装の必要がありません。
そのままでも耐候性を持つタイルは、通常の塗料で表面を保護しても何の効果もなく、
塗料で塗りつぶしてしまうとタイルの質感が失われるだけで、意味がありません。
ただし、撥水、またはツヤ出し目的で、無色のクリヤー塗料によるタイルの保護塗装が行われることはあります。
クリヤー塗料を塗ることで、外壁面からの雨水の侵入を防ぐことが出来たり、
ツヤが出るため、外観の美しさが施工前よりもよくなるなどのメリットがあります。
クリヤー塗料でタイル表面に塗膜を作っても、タイル材自体の耐久性や防水性を向上させる効果はないので、
あくまでもタイル表面の保護に留まります。
また、モルタルやタイル材の割れなどを放置したままクリヤー塗装をしても、効果は低いため、
クリヤー塗装を施しているからタイル壁のメンテナンスが不要になる、というわけではありません。
まとめ
タイルは、素材の耐久力や対候性が優れているというだけで、
決してメンテナンスフリーの外壁材ではありません。
正しく施工されていなかったり、タイルの周りに施工不良や劣化が生じたりすれば、
タイル材は本来の耐久力を発揮できなくなります。
メンテナンスを怠ってしまうと、知らない間にタイルが落下しかけていたりして、
建物や周りの人に被害が及んでしまうこともあるかもしれません。
そういったことを防ぐ意味でも、定期的に専門の業者を呼んで、点検を行いましょう。