タイル材は塗装がなくても保護効果を保ち続けるため、「メンテナンスフリーの外装材」として宣伝されることが
ありますがタイル材自体が劣化しなくても、タイル材の接着が不十分では意味がありません。
タイル外壁だからといって、決してメンテナンスフリーというわけではないのです。
タイル外壁に発生している劣化を早めに見つけるためにも、
~無機質のタイルは経年劣化が起きにくい~
確かにタイル材は経年劣化を起こさない外壁材ですが、何もせず永遠に耐久性が保たれるわけではありません。
タイルがメンテナンスフリーとよく言われる秘密は、タイルの素材にあります。
そして、タイル壁がメンテナンスフリーではない理由は、タイル壁の作り方に隠れています。
化学の力を使わずに生まれる天然素材のことです。
一方、樹脂やプラスチックなど化学の力でしか生み出せない化学物質は、有機質(または有機物)と呼ばれます。
経年とともに色あせや強度の低下などは多少生じますが、
サイディング材やコンクリートなど有機質の外壁材に比べると、はるかに長時間耐久性を保ちます。
定期的なメンテナンスも、モルタルとタイルがしっかり壁に密着していれば、
高圧洗浄作業の水洗いのみで汚れを落とすことができます。
しかし、いかに丈夫なタイルでも、モルタルから浮いたり剥がれたりすると、
外壁材としての効果は低くなってしまいます。
タイルが浮いているような気がする、壁からタイルが剥がれ落ちてしまった、ということに気が付いたときは、
早めにタイルを施工した業者に連絡して、補修工事を依頼しましょう。●タイルの浮き
タイル壁を断面にすると
建物の構造材|下地のモルタル|タイル接着用のモルタル|タイル材
という構造になっています。
タイルの浮きは、単純に、接着用のモルタルとタイルが剥がれかけていることもあれば、
構造材と下地のモルタルごと剥がれて、タイルが浮いた状態になっていることもありますので、
原因を慎重に調べなければなりません。
タイルの浮きは、テストハンマーなどの専用の棒を使って、職人が叩いて判断しますが、
このときに判断を誤ると誤った工事工程となりかねませんので、タイル補修は相当な技術力を擁する作業です。
●モルタルが内部から剥がれる
モルタルが内部から剥がれ、タイルごと剥がれ落ちてしまうことがあります。
モルタルが欠損した外壁は、当然、耐久性が全く無い状態ですので、
雨水や紫外線に晒されて、建物に深刻なダメージを与えることになります。
早急に専門家を呼んで見てもらう必要があります。
●伸縮目地のシーリングの劣化
サイディングと違って、タイルは目地をシーリング(コーキング)で埋める必要はありません。
その代わり、伸縮目地と呼ばれる、外壁に加わる衝撃を吸収し、
被害を最小限にするための目地が設けられることがあり、
そこにコーキングが充填されています。
タイル壁を見ると、タイルとタイルの隙間が他の目地よりも広く、
色も違う箇所がありますが、その部分が伸縮目地です。
この目地部分に詰められているシーリングは紫外線で劣化しやすく、
塗装よりも早く劣化するため、5~8年で点検が必要と言われています。
伸縮目地材を劣化したままにしておくと、地震などの衝撃が建物に加わったとき、
広範囲のタイル材に衝撃が加わってしまいますので、
こちらも早めに補修しておかなければ、建物の耐久性を低下させてしまうでしょう。